お金の使い方

人のための借金は考えもの

「知識がない」というのは恐ろしいもので、「知識」を「信用のない人」から教わるというのは、ほぼ「洗脳」だなと思い知らされた。

 

芝居がやりたくて上京を決めた。一緒に上京した仲間は、ほとんど地元が同じで芝居に関するツールはすべて東京から一時的にやってきた「演出家」から教わっていた。

 

その「演出家」は女好きで、酒飲みで、明らかにお金にだらしがないのだが、どういうわけか地元にそういうように生きている人間がいなかったせいか、ほとんどの人間がその存在に衝撃やカリスマ性を見出しているような感じだった。

 

東京にきて「劇団」として旗揚げして活動していこうと決めたときのこと、しばらくして「演出家」が「芝居の小屋や照明、音響のスタッフ代が足りない」と言ってきた。「知識がない」ゆえ、その相場などの情報はすべて「演出家」任せ。提示された金額を鵜呑みにするしかない。

 

その雰囲気はほんとうにただならぬもので、もし、ここで誰かが「肩代わりする」と言い出さない限り次の日に劇団の「誰かが自殺してもおかしくないのではないか?」という気持ちにさいなまれ、私が数十万を肩代わりすると言い出した。

 

肩代わりするにも紙や印鑑でやりとりをしたわけではなく「必ず返す」という口約束のみ。「正式な書類をくれ」といっても無視されるばかり、周りの話を聞いてみるとどうやら他の関係者にも多額の借金をしていたらしく、それをまた新しい人から借りて生活費や借金の返済に回していたらしい。

 

その行為を機会に私は劇団から抜けることにした。彼は「芝居」を理由に私から金を借りた。「芝居」に対して彼にはかなりのプライドある。それを利用して私も彼に請求するとき「私もあのお金で芝居が続けたいんです。」「私も照明さんに支払を待っていただいているんです。」とことごとくメールし続け、公演があるたびに借金取りのように押しかけ2年の歳月をかけて借金を全額返済させた。それから数回、彼と連絡をとったが、こっちから連絡を遮断した。

 

他の人間は「芝居」を理由にした借金ではないために、もう諦めかけている人もいる。私は幸運な方だ。集団で詐欺にあったような気分だ。「口約束」で済ませるので出てくるのは話ばかりで「証拠」がない。今後も彼の被害者は増えていくんだと思う。

 

それにしても、あの時貸したお金はサラ金で借りたものだ。あの時は必要だと思ったお金なので、サラ金には感謝している。

 

でも借りるまえに、お金を渡してよかったか、きちんと考えるべきだった。